ビフォアー&アフター
ビフォアー&アフター Vol.8
左京区頭町 S邸
交通至便、人気区内の2階家。その可能性に反した状況…
元は他府県在住の方のご実家。10年以上無人となっており、錆びたトタン外壁や置かれたままの荷物の様とあいまって、時が止まったような趣を醸していました。
また、天井が低く、圧迫感や暗さを感じたり、玄関戸が狭かったり、トイレが荒廃している等の、実用面での欠陥も目に付きました。
しかし、路地奥ながら日当りが良く、住居地として人気の左京区内の交通至便地にある等の「可能性」を有することから、新たな所有者の方に賃貸物件への改装利用を提案しました。外見共々、可能性を活かす物件へ
修繕は、いつものように現代的な暮しが可能であることを目標として、要所に絞って施しましたが、今回はそれに加えて外観の向上も図りました。そこでは、現場施工を担当した大工氏の知識と経験が存分に活かされています。その、主な修繕箇所と成果は下記の通りです。
1F部分
床 床板から痛んでいた畳部屋を板の間へと変更しました。材は無垢の杉板です。
床下 床施工の際、床下を点検し、基礎部の補修を行いました。鴨川近くといった立地の為か、湿気がみられたので、その対策として壁面への通気口設置も行いました。
天井 圧迫感の源であった天井の低さを改善する為、1階の天井板を外しました。
吹抜け 天井への施工と共に、キッチン上部と2階を繋ぐ「吹抜け」を設けました。これにより、2階からの採光も可能になり、圧迫感と共に問題となっていた「暗さ」が改善されました。
浴室 現代生活に合わず、使いにくい湯沸器を新しいものに交換しました。また、同じく古いカラン(蛇口)もシャワー付のものに交換新調しました。
玄関戸 開口幅が狭く、通行に支障があった玄関の開き戸を、引戸に変更しました。引戸は弊社在庫の、趣があり珍しい縦桟式無垢製古建具を使用しました。
トイレ 補修跡が傷み、荒廃した印象を醸していた床を補修し、タイル貼りにしました。
2F部分
屋根 特に異常はなかったのですが、一応点検を行い、雨漏り等に備えました。
吹抜け 1階の採光用に、新たに開けられた吹抜け部分には、無垢材によるしっかりとした手すりを設けました。白木が目を惹くそれは、実用性はもちろん、外見上のアクセントともなりました。
その他&全体部分
外壁 トタンに錆がまわり、荒んだ感じを醸していた外壁を趣ある板壁に変更しました。採用したのは、赤茶色で優しい印象を持つ「焼杉材」。元々雨に強いそれに、更にウレタン加工を施した専用品です。壁面下地に横貼りされたその工法は、耐久性を考慮した大工氏の配慮。補修交換がし易いよう、板をビスではなく釘留めしているのもその一環です。
こうして、再生作業が完了しました。要所に絞った施工ながら、外見共々、物件がもつ可能性を活かすように改善されました。「新たな人気物件誕生の予感」といえば、少し気が早いでしょうか。