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住人十色 21

洋画家、ビルのワンフロアーをまるごとアトリエ&住居

足田氏

床面積は、65平方メートル、3DKのマンションに相当するだろう。3階建て鉄筋ビルの最上階、まるごとワンフロアーの部屋は、もと染織工芸会社の工房兼事務所だった。ここに3月から、ライブペインティングなどで活躍する画家足田メロウさん(31)と、妻の真記子さん(29)、紅穂ちゃん(1つ)が暮らす。

端から端までを見渡せる視線の抜けの良さは、いわゆる「○DK」の間取りでは味わえない。家賃は、広さと場所の割には格安の部類に入るだろう。ただ、建物の外見は事務所そのもので「住人がいると思われていないのか、回覧板が回ってこなくて」と苦笑する。

最初は一軒家を探していたが、いわゆる町家タイプの家では「台所が部屋と別になっている物件が多く、子供の世話ができない」と真記子さんは話す。そこで一体型の間取りを選んだのだが、最初に部屋をみたとき、あまりのがらんどうさに「笑いがこみあげてきた」と足田さん。

引っ越しで使った段ボール箱で、子供侵入防止の「バリケード」を築き、部屋の中央部にアトリエのスペースを確保。徐々に、仕切りを兼ねた家具を制作しては置き換えている。この部屋には、もうひとつ魅力がある。それは、屋上の広い空間だ。足田さんは鉢植えの植物を育てるほか、家具を制作するときの作業場にも使っている。屋上からは、二条城の緑がすがすがしい。

まちなかにあるが、「すごく静かな環境」と夫妻は口をそろえる。付近は、織物や染色関係の事務所が建ち並ぶ地域で、まだ高層建築は少ない。

最近、中心市街地では古い建物が取り壊されて駐車場や高層マンションになるケースも増えているが、現況の事務所や古い家のまま、居住希望者への貸し出しが増えれば、まちのありようはまったく違うふうに展開するだろう。

ビルのワンフロアを住居にしている足田メロウさん一家。部屋の端まで視線が通る気持ちよさ。
アトリエは部屋の中央部。段ボール箱に囲まれている。
見晴らしのいい屋上。二条城の緑が間近に見渡せる。
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